あなたのまわり、わたしのまわり
気付かないところにころがっている
ちいさなちいさな、物語たち。
何もかもが憂欝だ。
疲れているせいなのか、思春期のせいなのか、はたまた理由は他にあるのか。
最近少し苛立ち気味で、メールをせかす彼女にも、雲ひとつ無い青空にも、
自分の事を何もわかってくれない全てのものに腹が立つ。
日々、この退屈な日常にやる気をなくした青年がある日歩道橋の上で出会ったのは、
何もかもに苛立つ俺を、さらに苛立たせる女。
凍える寒い帰り道。
明るくて、お喋りなはずの彼は喋らなくなる。
付き合い始めて一週間、まともに会話すらした事のない現状を打破するため
この三歩分の距離を縮めようと、私は彼の右手に手を伸ばした。
喋ったこともないのに告白しようとして、やっぱりできなかった。
周りの友達はバレンタインに告白して成功したり、撃沈したり。
挑戦すらできなかった私は、友達の成功を一緒に喜んだり、失敗を一緒に悲しんだりするだけ。
そんなバレンタインの次の日の、いくじなしのお話。
1時間で迷惑メール31通受信。
ほんと、馬鹿馬鹿しいったらありゃしない。
なんでこんな変なのにばっかモテて、現実の男にはモテないんだろ。
メイクがばっちりだから?
これが私なんだっつーの!…とも言ってられなくなってきて。
自分への自信をなくしかけてると、いつも目の保養にしてお世話に
なってる王子様が、今日も廊下の向こうから歩いてくる。。
笑う死神
雨が降っている。
頬を伝うのは雨か、涙か。
――――愚問だ、雨に決まっている。
死神は涙を流さない。
一部作品を参加させて頂いております。